八芳園交流コンテンツプロデュース(以下、当社)は2026年9月5日(土)に仙台市で開催された「NIKKEI THE PITCH CONNECT @DATERISE!」(主催:日本経済新聞社 NIKKEI THE PITCH)に、パートナー企業として参画いたしました。
本イベントは、全国のスタートアップやアトツギベンチャー、次世代の社会起業家を支援する「NIKKEI THE PITCH」が、東北最大のイノベーションイベント「DATERISE!」と連携し、「越境」と「共創」をテーマに掲げた特別企画です。
当日は、当社の矢内加奈(東北ユニット エリアマネージャー 兼 福島県郡山営業所 所長、サムネイル画像の左)が、東北の地で世界を視野に活動されている3名の事業者様とのトークセッション「三者三様の谷〜酒・ワイン・米、東北が世界へ出るまで」に登壇し、モデレーターを務めました。
<登壇者> (サムネイル画像の中央左から)新澤 巖夫 様(新澤醸造店 代表取締役) 佐々木 道彦 様(南三陸ワイナリー 代表取締役/栽培醸造責任者) 上野 滝人 様(NPO法人鳴子の米プロジェクト 事務局/やまのてファーム 代表)
「谷の質」はまったく違う──経営・政策・地域、三者三様の出発点
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トークセッションでは、どのような谷をどう乗り越えて世界から評価される存在になったのか、今どんな谷に向き合っているのかなどについて、各事業者様からお話しいただきました。
谷の内容とその越え方について、佐々木様は2019年2月に「南三陸ワイナリー株式会社」を法人化した当初、町に酒の製造場がひとつもなく、「町の方からは期待も信頼もなく、辛口の白ワインはまったく受け入れられませんでした」と振り返りました。その後、地元での地道な活動に加え、日本ワインコンクールで宮城県初の受賞を果たしたことで「町の見方が一変した」と転機を明かしました。
新澤様は、事業を進めていく中での軸について、「地方から出てくると、どうしてもインパクトを探し、セールスポイントを作ろうとします。それを全部潰し、気づいた人だけが評価してくれればいいと仕上げました」と力説。甘さで欠点をごまかさないよう糖度を下げた結果、出汁の味を上品に出す名店から声がかかり、無名の時代に大手航空会社からの採用につながった経緯を語りました。
現在直面している谷について、上野氏は「米価の乱高下と担い手の高齢化によって、数年内に70〜80代の生産者が一斉に離農する時代が来ます」と警鐘を鳴らしました。その危機に備え、離農者の農地を引き受けたいものの、中山間地の農業はコストが高いことから、区画整理・合意形成・資金面での行政や周囲の支援の必要性を訴えました。
量ではなく、品質と物語で選ばれる存在に
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御三方が語った未来には、共通する姿勢がありました。目先の量や売上ではなく、品質と物語で選ばれる存在になること、そして自らの土地で作り続ける理由を世界に示すことです。
新澤様は世界酒蔵ランキング5連覇を目指しながら、「毎年いいものができたと思っても、翌日にはもっとおいしく作る方法を考えています」と飽くなき探求心を示し、年商と同規模の投資も「たった1ミリ品質を上げるため」に投じ、それが他の蔵では起きない違いとして伝わる品質につなげたいと述べました。
佐々木氏は、イタリアを中心にヨーロッパ・東南アジアへ輸出を強化する方針を掲げる一方、若者の飲酒離れや温暖化による品種転換など避けられない変化を認識。その上で、「南三陸でやっている理由をお客様が納得できるワイン」を、納得できなければ出さないという妥協のない姿勢で追求し、いずれ「南三陸のワインとはこういうもの」と言えるテロワール(ブドウの生育地の気候や土壌など、産地固有の個性)を確立したいと意欲を見せました。
上野様は、「ゆきむすびを世界に誇れる日本一のお米にし、ゆきむすびを食べるために鳴子温泉を訪れてもらえるブランドに」と宣言し、農作業体験を通じて価格ではなく物語に共感するコアファンと関係人口を増やしていく構想を示しました。
東北の物語を、東京で「体験」に編集する──八芳園が担う役割
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セッションの締めくくりには、矢内から八芳園および当社が提供できる力や、担う役割についてお話ししました。
矢内は、八芳園が東京・白金台の結婚式場として培ってきた、「『場づくり・ことづくり・ものづくり』を編集し、貴重な一日をプロデュースする力」や、地域と東京を結ぶチャネルとして婚礼、宴会、レストラン、料亭、MICE事業、VLC(VEGETABLE LIFE CAFE)など多様な接点を駆使しながら地域と連携していることを紹介。また、プロデュース力のノウハウを地域文化財に適用し付加価値をつけて経済圏を作るという、「文化財を活用した経験経済圏の創出」を目指していることも併せてご説明しました。
当社は実行役として、東北の拠点である福島県郡山市・山形県長井市をはじめ、日本全国各地で「地域の魅力をどう伝えるか」に腐心しながら事業を展開していることを述べつつ、「究極の食中酒、食中に合うワイン、そしてこだわり抜いたお米。今日お聞きしたストーリーをどう表現すれば、皆さまにその体験をしていただけるのか。三者の皆さま、そして会場の皆さまのご協力を得ながら形にしていきたいです」と呼びかけました。


